前回は不倫カップルがコンビニに入った後に、こちらで付近のラブホテルの位置を確認し、スタンバイが完了したところまで書きました。
今回はその続きです。
深夜ということもあり、コンビニの店内は対象者達のみで、駐車場には車両がなく、張り込みは厳しい状況です。
熱血探偵はコンビニの裏手の路地に潜み、代表の車両は少し離れた路肩で対象者のバイクが出て来るのを待ちます。
対象者達の話し声が聞こえてきました。コンビニから出て来たようです。
暫くして、バイクのエンジン音が聞こえ、対象者と不倫相手の女性が乗ったバイクが通りへ出て来ました。
予想通り、ラブホテルの方向へ向かっています。タイミングをずらし、尾行に入ります。
交通量がほとんどないので、かなり距離を取らなければなりません。
5分ほど尾行し、ラブホテルが数件ある路地へバイクが入りました。
すかさず、代表の車両と入れ代わり、距離を少しずつ詰めます。
「対象バイクがラブホテルへ進入」無線が入ります。こちらは車両のヘッドライトがラブホテルへ入るのを見届け、素早く出入口の確認と張り位置を探します。
対象者達がラブホテルへ仲良く入る様子をしっかりと撮影し、代表の車両が出て来ました。
出入口と対象者のバイクが、確認出来る位置は既に見つけており、ここから、張り込みの開始です。
取り敢えず、ラブホテルの入りが撮れて、一安心です。ですが、出の撮影と女性の自宅の割り出しがあるので、気を抜くことは出来ません。
調査車両内から張り込み、交互に仮眠を取りつつ、出に備えます。
もちろん、調査バイクは車両の近くへ、ヘルメットもすぐにかぶれるようにしています。
午前2時、3時と時間が過ぎていきます。午前5時を過ぎたころから、空が薄明るくなってきました。
午前7時を過ぎても、対象者達は現れません。これは、チェックアウト時間の12時頃になるのでは?と思い始めた午前8時頃に対象者達が出て来ました。
急いだ様子で、バイクを駐輪場から出しています。熱血探偵もヘルメットをかぶりながら、ダッシュでバイクに向かいます。
女性を乗せた対象バイクが、ラブホテルを出ました。川沿いの細い道を軽快に飛ばして行きます。
大通りに合流したところで、距離を少し詰めて、尾行を続けます。
朝の通勤ラッシュで交通量が多く、尾行は問題なくいけそうです。
どうやら、対象バイクは駅方向へ向かっているようです。女性を駅へ送迎か?自宅に送迎の可能性もあるので、決めつけはNGです。
対象バイクが駅の手前で、住宅街へ入りました。マンションも多いブロックなので、少し距離を詰めます。
すると、対象者がバイクを停車しました。
女性が降りるのか?こちらが減速する間もなく、対象バイクはUターンをし、熱血探偵の方向へ走って来ます。
どうする?ここは、知らん顔して、通り過ぎるしかありません。
サイドミラーで通り過ぎた対象バイクが、赤信号で停車したのを確認しました。
こちらは、ゆっくりと路地へ入り、ブレーキターンをきめ、すぐさま方向転換して、対象バイクが見える位置につきます。
今のはなんだったんだ?明らかに尾行を切るような動きだったので、「対象者が女性を駅へ降ろす前の尾行者の確認、もしくは、ルーティンでやっている」と思考を巡らし、さらに慎重に尾行を続行します。
信号が青になり、動き出した対象バイクは案の定、駅前に停車し、女性を降ろしています。「対象バイク、駅前停車。対象女性降ります!」代表に無線を入れ、こちらも撮影をそこそこに、バイクを停める駐輪場を探します。
対象者が女性と別れ、バイクで出発します。女性がその姿を見送り、駅方向へ歩き出しました。
間髪入れず、調査車両を駐車場に入れた代表が、走ってこちらに向かって来るのが見えました。
あとは代表に任せ、こちらもバイクを駐輪場へ停めます。急いで先行する代表と女性を走って追います。
改札を入る手前で、なんとか追いつきましたが、息苦しい状況です。
ホームで電車待ちしている間に、呼吸を整えます。
暫くして、やって来た普通電車に乗った女性は3駅目で下車しました。その後は、徒歩で5分程の一軒家に入って行きました。
自宅の割り出し、撮影も完了です。
依頼者さんに連絡を入れ、調査が終了しました。やっと、一息つけます。
どうですか?尾行と自宅の割り出しだけでも、けっこう、大変でしょう?
対象者がバイクでUターンしたときや、駅前で女性が電車で移動した時も、もたもたしていたら、一瞬で対象者を見失ってしまいます。
探偵は先の先を見て、行動を意識しないと、やっていけません。
言うのは容易ですが、実際にやるのは、大変で難しいです。
それでも、困難を乗り越え、証拠を押さえ、依頼者さんが喜ぶ姿を見ると、達成感とやる気が湧いてくるものです。
次のターゲットは誰であろうと、必ず証拠を撮ってやる。熱血探偵は常に冷静に現状を把握し、使命感を持って調査にあたります!